琉璃工房

クラフツマンシップ

工芸倫理

何より「素材」。素材を理解することは、実践的なアプローチが求められます。例えば、陶芸の場合、自分の手で形を作り、自ら焼き上げることで初めて陶芸家といえます。実際に手を使うことではじめて素材を理解し、技術を身につけ、新しい作品を作ることができるのです。

次に「謙虚さ」。歴史や伝統に対して謙虚でいることが求められます。学びのプロセスは失敗の連続です。向上心を持って失敗と向き合うことによって謙虚さが確立され、より広い世界へと目が向くようになります。これが成長するための唯一の方法です。工芸にとって慎重であること、謙虚に学ぶこと、過去の成功にとらわれないことは、きわめて重要です。

琉璃工房の名前には、単なる職人ではなく、しっかりと教育を受けた人でありたいという希望が込められています。その根底には、学ぶことによって、例え職人として成功することができなくても、善き人間になることができるという倫理観があります。

パート・ド・ヴェール技法

パート・ド・ヴェール技法とは、琉璃ガラスを作る際に用いられる技法の一つで、非常に細かいデザインを再現できるという特長があります。

3000 年前の古代エジプトで用いられていたこの技法は、19世紀末のフランスでアールヌーヴォーの流行とともに復興され、現代ヨーロッパにおけるガラス芸術の発展の礎となりました。

中国では、漢王朝(紀元前206 年~220 年)の時代までこの技法が使われていたものの、一度その歴史は途絶え、1500年以上の時を越えて1987年に琉璃工房が琉璃ガラス芸術として甦らせました。現在ではアジアに100を超える琉璃ガラスの工房が存在し、パート・ド・ヴェール技法が使われています。

永遠の創作へのスピリット

琉璃工房の作品の裏面には、68/2750というような数字が刻印されています。これは2750個中の68番目の作品を意味します。なぜ作品数を限定するのでしょうか?それは、数を限定することで、市場に作品が溢れることを抑制すると同時に、私たち自身を次の新しい作品作りに駆り立てるためです。

また、琉璃工房の全ての作品は、デザイン、計画、制作といった約6~8カ月の長いプロセスを経て創られます。そして出来上がった作品の中で極めて良好な状態のもののみ販売することによって、品質基準を保ち続けています。

このような琉璃工房の創作の精神には、「利益を生む製品を作る」という考え方がありません。琉璃ガラスは本質的に学びと気づきに結びついており、それは良心と自制心の形です。もし傲慢になれば、命というものが限りある儚いものであることを容易に忘れてしまいます。共感と人間の心を欠いた創作物に魂が宿ることはありません。設立以来、琉璃工房の魂は、混沌とした競争の激しいマーケットにおいても穏やかさを保ち続けており、これからもそれは変わりません。